リベンジ学園
「紗栄子、私ね、学校では晴江さんたちの目があるから、なかなか紗栄子に話しかけられないでいるの。

でも私は、いつも紗栄子を助けたいって思っているよ。

もしも私が強かったら、紗栄子を助けてあげられるのに……」



「智恵、気にしてないよ……」



紗栄子はこぼれ落ちる涙を拭いながら智恵に言った。



「私には智恵の気持ちがわかるよ。

教室内のあの雰囲気で、私を助けるなんてできないよね。

智恵が悪いわけじゃない。

そんなこと、私だってわかってる……」



智恵は紗栄子の涙を見ながら、弱者だという理由だけで、どうして紗栄子がこんなにも傷つけられなくてはいけないのだろうと思った。



弱者が弱者であるが故に居場所を失ってしまうなら、弱者は強者の顔色をいつも伺っていなくてはならないのか?



自分や紗栄子は晴江のような特権階級の人間ではないけれど、人としての感情を持っているということに変わりはない。



そして智恵はそんなことを思うと、どうしようもなく晴江を憎み、いつまでも紗栄子の味方でいたいと考えていた。
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