リベンジ学園
「バカ言うなよ、辰雄。

オレたちが西門からコソコソ逃げていくなんて、あり得ねぇだろ」



虎治はそう言って、辰雄の肩を強く叩くと、そのまま太い右腕で辰雄の体を引き寄せた。



「金属バットで誰かを思いっきり殴れるチャンスは何度も来ないぜ。

普通、そんなことをしたら、警察に捕まっちまうからな。

でもよ、このリベンジゲームでは金属バットで人を殴ってもいいんだぜ」



虎治はそう言うと、辰雄の気持ちを誘導するようにこう言った。



「だったらよ、紗栄子をギタギタになるまでぶん殴るしかねぇだろ。

紗栄子をぶっ殺したら、リベンジゲームはクリアで、オレたちは英雄だ。

なぁ、最高だろ、辰雄」



辰雄は虎治の考えについていけなかったが、虎治の意見に賛同するかのようにぎこちない笑みを浮かべていた。



「そうだね、虎治君。

オレも虎治君が紗栄子をぶっ殺すところを見てみたいよ」



虎治と辰雄がそんな会話をしていたとき、二人の目の前を三人の男子生徒が走っていった。



虎治は何も言わずに自分の目の前を走り抜けた三人に腹を立て、その三人の背中をにらみつけた。
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