リベンジ学園
虎治が紗栄子の顔を不気味に笑いながら見ていた。



その虎治の表情を見ている限り、虎治が自分を助けてくれそうな雰囲気はどこにもない。



だったら、なぜ虎治は自分をここに呼んだのだろう?



紗栄子は理解できないことの数々を前にしながら、自分の頭の中で警鐘が鳴り響くのを感じていた。



自分がここにいてはいけないという予感。



紗栄子は不安の中で部室の外に出る機会を伺っていた。



「ダチの晴江が言ってたんだ。

人はどんなときに幸せを感じると思う? ってな。

オレはそんな質問に答えやしなかったけど、晴江はあのときこう言ったんだ。

『目の前に不幸でどうしようもない奴がいると、すごく幸せを感じるの。

私はこんなどうしようもないグズじゃなくて良かった』ってな……」



虎治のその言葉を聞いたとき、紗栄子の中にあった漠然とした不安が、確信に近い恐怖に変わった。



原島虎治は自分の味方なんかじゃない。



原島虎治は敵なんだって……。



紗栄子は込み上げてくる恐怖の中でこの部室を出ようとしたとき、後ろにいた辰雄が紗栄子を羽交い締めにして取り押さえた。



そしてそれを見た誠二が紗栄子の口にタオルを突っ込み、そのタオルが取れないように紐で結んだ。



紗栄子は誰も来ないはずの部室の中で、取り押さえられ、声を出すこともできなかった。



そして紗栄子は辰雄に部室の床に押しつけられ、制服を引き裂かれた。



紗栄子は今から起こる最悪の事態を予測して、力いっぱい抵抗したが、紗栄子の力では男の体を押しのけることはできなかった。
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