愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




美男美女カップルだとか、ビッグカップルだとか。
本当にどうでもいいことで騒ぐものだ。

その日から1週間経った今でも、熱は冷めない様子。


早起きしてまで毎日早く行くべきだったのだろうか。
そんなの体への負担も大きい。

とはいえ私のせいではないと思いたい。


「お似合いだなぁ…」
「素敵なふたりだね」


なんて、羨望の眼差しを向けられることもしばしば。
本当に学校というものは居心地が悪い。


いつも以上に話しかけられる上に、冬休みはほとんど自分を作っていなかったせいか、ニコニコニコニコ笑い続けることに疲れを覚えてくる。

そろそろ表情筋も限界だ。




授業中が最も平和な時間だった。
けれどもうすぐ昼休みがやってくる。

本当に気が重い。
これも全部瀬野のせいである。


こればかりは一生恨んでやる。

瀬野の余計な一言のせいで私はこんな苦労を…一方で彼は楽しそうなのだから余計腹が立つ。


4限目の授業も終わりに近づき、時計を見るとあと5分でチャイムが鳴ろうとしていた。

どうにかして“付き合った”という嘘を消せないだろうか。


もちろん無理矢理な方法はあるのだが、私の好感度がガタ落ちするかもしれない。

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