彼女と私の見分けかた
打ち上げでみんなが盛り上がるなか俺の気持ちはすっかり落ち込んでいた。

「ねぇ、なんで急に静かになってずっと黙りこんでるの?

今日菜月とたくさん話せたんでしょ?」

「あぁ、まぁな。
楽しかったし、たくさん話せた。

なぁ、藤咲…」

「ん?なに」

俺に笑顔を向けた藤咲の笑顔と昼間の彼女の笑顔が重なった。

椅子に置かれていた藤咲の小さな手の上に、そっと俺の手を重ねると、藤咲は驚いた顔をしたが重ねて握りしめた手は振り払われることなく温かな藤咲の体温が指先から伝わる。

「もしも…。

出会う順番が違ってたら…。

先に出会ったのが藤咲だったら…。

俺はこっちの藤咲を好きになってたのかな…」

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