ごめん。ぜんぶ、恋だった。
4 からから響動く







恋って、したいと思うからするものだと思っていた。

でも、前触れもなく降ってくる通り雨のように、止むのは一瞬でも濡れた身体が乾くのには時間がかかる。

そうやって一度、恋に触れてしまえば。

じわじわと気持ちは心の奥のほうへと染み込んでいく。


「帰る頃には上がっているだろうから大丈夫だよ」

図書室から見える窓の外を見ていると、速水くんが声をかけてきた。

突然の雨によって運動部の人たちが校舎に雨宿りしている。

空は晴れているのに雨が降るなんてどういう現象でそうなるんだろう。この図書室に答えが載っている本はあるのかな。


「仕事にはだいぶ慣れてきた?」

委員会は主に昼休みと放課後の二回。昼休みはみんな昼食を取ることがメインなので、あまり図書室には来なかったけれど、放課後は想像以上の生徒たちが本の貸出や返却をしに来ていた。


「うん。でもこの貸出リストをまとめるのが難しくて」

私はカウンターにあるパソコンを触る。

貸出リストをまとめることよって学年別のベスト10などの作成に役立つんだけど、機械オンチの私は変なところをいつもクリックしてしまう。


「ああ、これはね……」

速水くんが私の後ろに回り、一緒になってマウスを動かしてくれた。それと同時に、昨日お兄ちゃんと玉ねぎを切ったことを思い出す。

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