ご利益チョコレート


バッグからチョコレートの包みを取り出す。


「あ、あの、国島さん!これ、チョコレート」


チョコレートを国島さんに差し出した。


「えっと……好きでした。良かったらこれ、食べてください」


決死の告白。

幸せに繋がらない告白。

恋心に区切りをつけるためだけの。





沈黙がいたたまれなくて、国島さんの顔を見ると醒めた目でチョコレートとわたしを見下ろしていた。


「……一応、いただいとくわ。ありがとう」


一応……。
そうだ、多田さんがいるもんね。



「あの、やっぱり一人で帰れ……」


「送るって言うたやろ」



再びトートバッグを取り上げられて、松葉杖を渡される。



ここで泣いたらあかん。

分かりきっていた答えに傷付くなんて間違ってる。


エレベーターに乗り、会社のエントランスに降りて外に出た。


「ここでちょっと待ってろ」


朝、伊吹に車を降ろされた所あたりで国島さんに言われた。
< 20 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop