お嬢様と呼ばないで
「そういう言い訳をすればいいんですね」
「ああ。病気もいいぞ?精神的にキツくて夜眠れないって言えば先生はビビるから。それに後は家に年寄りがいて介護しないとダメだと言うと、誰も反対しないで辞めさせてくれるから」
「なるほどね!確かに!」
「上手に辞めないと他の部に行けなくなるから。そこは慎重に行けよ!じゃあな!」
あばよ!と手を挙げて去った親切な福岡にジーンと感動している美友に海棠は面白くなくてそっと肩を抱いた。
「なあ、俺とあいつのどっちを信用するの?」
「比べる事ができませんが、今の話は説得力がありましたね」
「くそ」
「あの、でもですね?海堂先輩がいたからふくよか先輩は教えてくれたと思うんです。やっぱり海堂先輩のおかげですね。あ?」
海棠は嬉しくて美友の頬に軽くキスをした。
「……ごめんよ?あんまり可愛いから」
「あの。これくらいでこのお礼は困ります。それに海堂先輩……?」
「なあに?」
彼女は怒った顔で彼を見上げた。
「私も海堂先輩が困っていたら助けるので、こういう感謝は要らないです」