お嬢様と呼ばないで


「そういう言い訳をすればいいんですね」

「ああ。病気もいいぞ?精神的にキツくて夜眠れないって言えば先生はビビるから。それに後は家に年寄りがいて介護しないとダメだと言うと、誰も反対しないで辞めさせてくれるから」

「なるほどね!確かに!」

「上手に辞めないと他の部に行けなくなるから。そこは慎重に行けよ!じゃあな!」


あばよ!と手を挙げて去った親切な福岡にジーンと感動している美友に海棠は面白くなくてそっと肩を抱いた。


「なあ、俺とあいつのどっちを信用するの?」

「比べる事ができませんが、今の話は説得力がありましたね」

「くそ」

「あの、でもですね?海堂先輩がいたからふくよか先輩は教えてくれたと思うんです。やっぱり海堂先輩のおかげですね。あ?」

海棠は嬉しくて美友の頬に軽くキスをした。


「……ごめんよ?あんまり可愛いから」

「あの。これくらいでこのお礼は困ります。それに海堂先輩……?」

「なあに?」

彼女は怒った顔で彼を見上げた。



「私も海堂先輩が困っていたら助けるので、こういう感謝は要らないです」
< 105 / 127 >

この作品をシェア

pagetop