お嬢様と呼ばないで
「おい!そこ!?今日は2月14日だぜ?」
しかし彼女はスマホを取り出し、ほら!とその記事を見せた。
「2が『ふん』で14は『ど、し』のゴロ合わせなんだよ」
「合ってねえし?くそ……」
そんな美友は彼に構わず、美術室を見学していた。
「ここで絵を描くのか……楽しそうね」
「結構本格的な道具が揃ってるな」
その時、美友は誰かがゴミ箱に捨てた書きかけのデッサンを拾い上げた。
「……それは、きっと気に入らなくて捨てたんだろう」
「ほとんど白紙だよ。そうか、ちょっと描いてみよっと!」
誰もいないことを良いことに彼女はそばにあったB鉛筆でサラサラと疾風を描き始めた。
「おい」
「動かないで!そのまま!……首を傾げて……ニヤリ顔っと!」
「ふふ、笑わせんなよ」
「黙って!息を止めて!ええと、髪はこう流して……首元セクシーで、服は面倒だから無しで……」
美友の可愛い目線を受けた彼は、笑いを堪えてこのモデルしていたがやっと動いて良い許可が出たので絵を覗き込んだ。
「なんだよこれ!」
「似合ってるよ」
「俺はふんどしなんか締めねえよ!」