お嬢様と呼ばないで
「なんだと?」


「先生がやって見せてください!」

「そうだ!そうだ!」


体を反らすテストの説明を聞いた女子生徒は山下に見本を見せろと言い出した。



……せんせい!!せんせい!!と大声援を受けた中年山下はジャージをサッと脱いたので、女子生徒はきゃーーとこのジャージを避けた。



「しゃーねーな?一回だけだぞ?」


このジャージを丁寧に畳んで隅に置いた中年親父におおおー!と拍手で乗せた1年女子はマットにうつ伏せになった山下を囲んだ。


「見ろよ。俺の勇姿、とう!う?」


そんな中年男はすっかりおだてられ、未体験ゾーンまで伸ばしたが、腰から変な音をさせてううう、とマットに倒れてしまった。



これに呆れた女子達は構わず始めた。




「わあ?すごい桜田さん」

「自宅でストレッチだけしてるんです」


180度開脚して前に倒れた美友に女子達は拍手をしていた。
そんな女子達は測定終えたので山下は腰に手を当て校庭に移動させた。


「あ。男子ですね」

「走らされているみたい」


隣にいた梅本芹那は美友にそっと話した。

「あれは、酒星君でしょう?」

「そうかな?遠いからわからないわ」

< 49 / 127 >

この作品をシェア

pagetop