お嬢様と呼ばないで
9 初なみだ
体育から戻ってきた美友が泣き腫らした顔をしていたので、同級生達は何も言えずシーンとなってお弁当タイムに突入していた。
このお葬式よりも沈んだ空気を何とかしろ!お前の役目だろ!と同級生の目に押された疾風は美友に直接ぶつけてきた。
「何やってんだよ」
「別に。なんでも無い」
「何でもないわけないだろうが」
ここで芹那がうまく聞くと、彼女は3年男子とケンカしたという話をしたので、クラスとは無関係な話に一同はひとまず安心した。
「どんな先輩?」
「体が大きくて、3年生で。見たことのない制服を着ていたわ」
「不良じゃないの?名前は」
「ふくよか先輩って言ってた」
「ふーん」
しかしこの話を聞いた男子、花雲良平はそいつは学校一番の不良じゃないかと言った。
「福岡さんって言わなかった?」
「?私には『ふくよか』って言ったけど」