お嬢様と呼ばないで
「なんだよ?」
「私のお友達は理由があって車椅子生活になったんですけど、学校がバリアフリーじゃ無いから通えなくなりました」
「て、転校しないのか」
「……親御さんが送迎したりお金が掛かるからって、彼女は自宅で通信教育をしています。確かに学問は学べるけど、やっぱりこんな風に学校に来たいはずなの」
「……お前」
涙の美友に福岡はびっくりしていた。
「そんな人もいるのに。せっかく通えるチャンスがあるのにあなたは。自分は出来損ないだからって、努力もしないで諦めているなんて!」
「おい。桜田」
「山ちゃん!黙って」
「……どうしてお前がそんなに泣くんだよ」
「悔しいからです。私が持てない様な重い物を持てそうなあなたが、自分をそんな風に卑下しているなんて……」
「俺が?」
そんな美友はハンカチで顔を拭いていると、キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴った。
このまま昼休みになったので美友は佐藤に言われて一人で退室したのだった。
つづく