お嬢様と呼ばないで

5 愛しいつぼみ

18 愛しい蕾

「ええと。温室……あった!」

校庭の端にある温室には一年中、花が咲いていた。

これはうらら学園の生物部が管理していると知っていたすみれは、これを見学したくて顔を出した。

「すいません……見学なんですけど」

しかし誰もおらずシーンとしていたので、すみれは誰かが来るまで美しい花を見ていた。

「だ、だれ?」

「勝手に入ってすいません。私、見学なんですけど」

神経質そうな男子生徒は迷惑気に眼鏡をすっと押し上げた。

「……そうか。今日は見学の日か。でもね」

今は部員を募集していないと彼は言った。

「僕は部長の蕗本だけど。みんな君のように興味本位で入るけど、土とか肥料をいじるから。女子は嫌がってこなくなるからお断りしているんだよ」
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