お嬢様と呼ばないで
「そうでしたか」
市場では高値の花があったのですみれはこの話に納得した。
「君。ぜひ、入ってくれないかな。あの、入部待ってるから」
こうしてこの日は挨拶にとどめ二人は温室から出てきた。
「良かったな。入部できそうじゃん」
「良平君……どうして私なんかに構うの」
「え」
「どうしてなの」
帰り道の誰もいない校庭の隅で、すみれは真顔で彼を見つめていた。
「俺さ……お前にずっと謝りたかったんだ」
彼はじっと彼女を見つめていた。
つづく