Reward

放課後、みんなが帰っていく中、あたしは図書室へと向かう。本当はみんなとドーナツを食べに行きたいけど、前から約束してたことだから。

「遅かったな」

図書室のドアを開けると、椅子に座って読書をしていた男性が顔を上げる。サラサラの黒い髪、ほどよい筋肉のついた体、整った顔立ち、二年生の有働（うどう）先輩だ。

「ホームルームが長引いちゃったんです」

あたしがそう言うと、「そっか。なら、早く座れ。始めるぞ」と先輩は本をかばんの中に入れて教科書などを出し始める。

「は〜い」

私は渋々先輩の隣に座った。今から、二人でテスト勉強をする。

さっきから甘い空気がゼロだけど、あたしと先輩は実は夏休み前から付き合ってる。同じバドミントン部で、先輩から急に告白されたんだよね。

先輩は、イケメンで勉強も運動もできて、できないことなんてないんじゃないかってくらい完璧な人。そんな人が、あたしに告白なんて罰ゲーム？と疑ってしまった。