Reward
「先輩!あたし、勉強頑張りましたよ?ご褒美ください!」

忘れるところだった!あたしは先輩の腕を掴み、上目遣いで見上げる。先輩の頰が赤く染まった。

「そういうことは覚えてるんだ……」

先輩、サラッと失礼なこと言いませんでした?先輩はブレザーのポケットの中に手を入れ、何かを取り出した。

「ほら、これやる」

あたしの手の上に、先輩はキャンディを置いた。オレンジのおいしそうなキャンディ。

「わあ!ありがとうございます!」

おやつを食べる時間なんて当然なかったから、お腹はペコペコ。あたしはすぐにキャンディを口に入れた。甘くておいしい。

コロコロと舌の上でキャンディを転がす。今日はゆっくり楽しみたい気分。いつもは口に入れてすぐにキャンディを噛み砕いちゃうけど、先輩からもらった特別なキャンディだもん。最後まで楽しみたい。

「先輩がお菓子持ってるなんて、珍しいですね」

「どうせ何もなかったらお前がやる気出ないと思って……。持って来て正解だった」
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