……秘密があります
「指紋まで消し始めるから、俺を殺そうとしてるのかと思ったぞ」

「……いや、あの~。
 なんかいろいろと申し訳ありません」

 何故、襲われてこっちが謝らなければならないのかわからないが。

 こちらに様々な不手際があったのは確かだ。

 なんとなく謝ってみる。

 だが、帯刀の機嫌は悪かった。

 なんでしょう。
 私なんかに手を出して、結婚してくれとか脅されそうでやだなと思ってるとか?

 いやいや。
 そんなこと頼みませんよ、と思う羽未に帯刀が言ってきた。

「俺はお前に腹を立てている」

 何故っ?

「とりあえず、三つ、腹を立ててることがある」

 三つもですかっ。
 そして、その『とりあえず』が気になるんですがっ、と羽未は怯えながら帯刀を見上げた。
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