……秘密があります
「だが、今、俺の本気を羽未に見せるチャンスかもしれない」
と士郎は、ずいっと膝を羽未の方に向け、手を握ってくる。

「羽未!
 俺は逆玉よりお前を選ぶ!」

 そう宣言したあとで、士郎はちょっと間を開け、言ってきた。

「――とか言ったら、感動的かなと思うんだが。
 どうだ?」

「いい話のような、そうでもないような……」
と羽未はダメ出ししたが、帯刀は、

「いや」
と言う。

「上杉はずっと逆玉に乗りたいと宣言していたからな。
 それを振り捨ててというのは、ちょっと感動的かもしれないな」

 何故か、羽未ではなく、帯刀の胸に響いたようだ。

「羽未」
と今度は帯刀が手を握ってくる。

「俺はなによりお前を選んだらいい?」

「さちこさん」
と士郎と同時に言っていた。
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