……秘密があります
 


 倉庫から出てきた羽未(うみ)は、何故か後ろを振り返り振り返り歩いてくる楡崎(にれざき)に気がついた。

 そうだ。
 元はといえば、楡崎さんが私に課長の首に鈴をつけてこいと言って、送り込んたんだった、と思い出したが。

 本当に課長と一夜を共にしてしまったなんて言えないから、文句も言えないな~と思いながら、

「……お疲れ様です~」
といろいろ飲み込んで力なく言ったとき、楡崎が言ってきた。

「おい、綾城(あやき)
 お前、春成(はるな)課長になにかしたのか?」

 そう訊いてくる楡崎には、鈴をつけてこいと言った記憶もないようだった。

 今来た方を指差しながら、
「なんか課長、物陰からお前のこと睨んでたぞ」
と小声で囁いてくる。

「早く謝ってこい」
とアドバイスしてくれるが。

 いや……、なんて謝ればいいんですか。
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