……秘密があります
「羽未……」
窓枠に手をかけ身を乗り出し、羽未を見つめて、士郎は言う。
「シロさんはよせ。
昔のように呼んでくれ」
子ども時代より他人行儀になった呼び方をやめろと士郎は言う。
「じゃあ、シロ」
「……うん。
より犬感が増した気がするから、やっぱりやめてくれ」
自分で言い出しておいて士郎は言った。
そんな士郎の顔を見ながら、羽未は思い出していた。
此処で自分が、
「シロ、逃げて!」
と叫んだとき、
「何処の犬を逃がしている!」
と言ったときの帯刀の切羽詰まった表情を。
……愛されてるのかな、もしかして。
少しは自信を持っていいのかな、ちょっとだけ。
そんな風に思って寝たが。
窓枠に手をかけ身を乗り出し、羽未を見つめて、士郎は言う。
「シロさんはよせ。
昔のように呼んでくれ」
子ども時代より他人行儀になった呼び方をやめろと士郎は言う。
「じゃあ、シロ」
「……うん。
より犬感が増した気がするから、やっぱりやめてくれ」
自分で言い出しておいて士郎は言った。
そんな士郎の顔を見ながら、羽未は思い出していた。
此処で自分が、
「シロ、逃げて!」
と叫んだとき、
「何処の犬を逃がしている!」
と言ったときの帯刀の切羽詰まった表情を。
……愛されてるのかな、もしかして。
少しは自信を持っていいのかな、ちょっとだけ。
そんな風に思って寝たが。