……秘密があります
 


 ……いやいや、やっぱり緊張するんですけど、この部屋ーっ、と二次会も終わり、帯刀の部屋に行った羽未は思う。

 此処に来るたび、なんらかのおのれの悪事を暴かれそうな気がして、足がすくんでしまうんですが……。

 今日から家が建つまで此処に住むのか~、と玄関先で固まっていると、帯刀が後ろから羽未を抱き上げた。

 お姫様抱っこをしてくる帯刀に、
「そ、そういえば、これも芳賀さんに習ったんですか?」
と照れながら訊いたが、帯刀は、

「いや、これはおのれの衝動に従ったら、こういう動きになっただけだ」
と言う。

 帯刀は羽未を抱いたまま、あのクソ真面目な表情でじっと見つめてきた。

 ひーっ。
 やめてください~っ。

 なにもやましいところがなくとも、貴方のその真摯な瞳に見つめられると、なんだかわからないけど、すみませんっと謝りたくなるんですけどっ、と思ったとき、帯刀が訊いてきた。

「……もう俺に秘密はないよな?」

「ないです」
と言いかけ、羽未は気づく。

「あっ、ありますっ」
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