……秘密があります
 どうやら、女性を連れていくのにいいお店がサッと浮かばないようだった。

 えーっ。
 なんなんですかっ、そのピュアな感じはっ。

 貴方ほどのルックスだったら、女性をちぎっては投げ、ちぎっては投げ……

 いや、来るもの拒まずでもてあそんでも、まあ、仕方ないかってみんな思いますよっ?

 まあ、私の贔屓目(ひいきめ)かもしれませんけど、と思わず、思ったあとで、

 ……いやいや、贔屓してあげないといけない理由はないんですけどね、と心の中で訂正する。

 羽未がひとり、そんなことを考えている間、帯刀は、そこに立ったまま、周囲を見回していたのだが。

 その目は、すぐ近くの、おっきな目の女の子の人形が立っているチェーンのレストランと少し先にある居酒屋のデッカイ看板を行ったり来たりしていた。

 その二軒で迷っているのだろうか。

 いや、何故、その二択……。

 もしや、自分がいつも行くのはあの居酒屋で、私と行くのなら可愛い店の方がいいかなと思って、このチェーン店なのか。

 いや、どっちでもいいんだが。
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