オモイドオリ


『先生。』

資料を作り始めてどれくらい経ったのだろうか。

窓の外はもうすっかり暗くなって、青白い月がほのかな光を発しているのが見える。



それより、今の声は?

準備室には俺以外誰もいない。

気のせい、か?

『先生。』

いや、気のせいなんかじゃない。

はっきり聞こえる。

女の声だ。

「だ、誰かいるのか……?」

…………

返事が無い。

幻聴か?

俺はついにおかしくなってしまったのか……?

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