オモイドオリ
『裏切り者。』
気味が悪い……。
そろそろ、帰ろう。
資料を完成させるのは明日に延期することにして、俺は帰路に就いた。
『……。』
車を走らせながら、ふと思い出した。
さっきの声のこと。
……もしかしたら、アイツなのか……?
赤信号の交差点でブレーキを掛ける。
いや、まさか。
死んだ人間の言葉が聞こえるわけない。
でも、どこかアイツの声に似ていた気がする……。
……気がする、だけか。
じゃあ、あの声は一体
——パッパー!