オモイドオリ


突如耳に飛び込んできたけたたましい音に驚き、慌てて前を向く。

いつの間にか信号が青になっていて、後方の車がクラクションを鳴らしていたようだ。

運転中は気を抜いちゃダメだ。

事故に繋がりかねない。

俺はアクセルを踏み込み、いつもより少しだけ精神を集中させて運転した。

それにしても、アイツに囚われすぎだな、俺……。



「ただいまー。」

誰もいないワンルームに、俺の声だけが空しく響く。

玄関横の鏡を見ると、やつれた自分の姿が映っていた。

ひどい顔だ……。

ご飯を食べるのも風呂に入るのも億劫で、そのままソファに寝転んだ。

重いまぶたが閉じていき、眠りにつきかけたその時。__

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