私立秀麗華美学園
「4人の中で一番独占欲強いのって、もしかしたら雄吾かもね」

「うーん……? 独占欲なあ。和人……のんは、違うか。独占できるなんて思ってへんやろしなあ」

「そーね。かわいそーにね」


ふふ、と悪びれずにゆうかは笑う。

咲には時々和人が本気で可哀そうになる瞬間があるが、それもこの2人の関係を語る上で不可欠な要素の1つだ、という雄吾による見解を思い出し、心の中で和人にエールを送るにとどめる。


「独占欲……なんとなく、ゆうかが持ち始めたら大変なような気がすんねんけど」

「えー。誰によ?」

「まあそれが、和人にって言えたらこっちもめでたしめでたしやねんけどね」

「だって既に独占する必要ないじゃない」


それもそうかと思って咲は笑った。

無意識に、1人の男の心を独占して9年。
そしてこれだけの年数が経ってやっと。


「でも、歩み寄るんやろ?」


あー、とゆうかは呟く。


「そうだった」

「忘れたふりしても、あたしが覚えとくからな」

「うーん……でも、歩み寄るって何なのよ……」

「ゆうかがそんなこと考えてる時点で、大した歩み寄りやわ」

「甘えてちゃだめよ、なんて言われちゃったもの」


ゆうかの呟き方はいかにもやる気がなさそうだったが、自分に宣言したということは、実行しようと頑張るのだろうと、咲にはわかっていた。


「咲みたいに上手にできたらいいんだけど」


そう呟いたゆうかにも口には出さずエールを送り、彼女の珍しい姿をずっと見ていよう、と咲は心に決めた。














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