私立秀麗華美学園



「と、ゆーことでー、羽美ちゃんはその後、敬語もやめて素直になって、めちゃめちゃ可愛らしい子になりました。めでたしめでたし」

「……何それ。結局、いつもののろけ話じゃない。」

「なんでそうなんのー!?」


話し初めのすとんと腰を下ろした美しい姿勢は見る影もなく、ゆうかは咲の方に足を向けてうつぶせでソファーに寝っ転がっていた。


「要するに雄吾に構われ過ぎた咲が、羽美ちゃんに嫉妬されて、でも慰めてあげて仲良くなりましためでたしめでたし、でしょ?」

「拗ねた羽美ちゃんはゆうかに似てるなあと思ってたけど、羽美ちゃんの方が可愛げがあったかも……」

「でこぴんしていい?」

「やだっ」


幾度となく経験があるらしく、咲は両手で自分のひたいを隠してスツールごとずりずりと後退した。

床に傷がつくから止めなさい、とゆうかに言われて元の位置に戻ってくる。


「でもでも、雄吾自身は、めっちゃ反省しててんで」


あ、のろけ話だって認めた、とゆうかは口には出さない。


「羽美ちゃんが自分で話してんけど、雄吾も驚いとって、謝ったら、また羽美ちゃんは泣いてもうて。

あたしはさあ、学園に戻ったらまた、毎日雄吾と会えるし会話もできるから。

家におる間は羽美ちゃんといちゃついてても許してあげるって言ったら、次の日から羽美ちゃん、雄吾にべったりで、帰る時大変やってんで」

「ふーん……咲、余裕できたよね。それも元を辿れば雄吾のおかげだろうけど」

「うん。あたしもそう思う」


素直にうなずく咲を見て、ゆうかは体を起こしソファーに座りなおした。
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