私立秀麗華美学園
ーーしばらくなんの反応もなかったので、あれ? と思って横を向いた。


「なんか困ってる?」

「……はぁ?」


てっきり、はいはい、とか、ありがと、とか、さらっと返されると思ってたんだが。


「いや、なんの前触れもなく告白されたら、普通戸惑うでしょ」

「告白……そっか、今の、告白か」

「…………はぁぁ?」


うーん、と考える。まあそりゃそうか。わかりきったことであっても、改めて言ってみれば告白か。


「返事欲しくて言ってるわけじゃないしさ、独り言だと思ってくれていいよ」

「何それ。なんかずるい」

「ずるい?」

「ずるい」


マフラーを引っ張って口元を隠したゆうかが言う。何がどうずるいになるのかはわからなかったけど、困らせるのは本意じゃない。


「いつまででも待つ覚悟はあるからさ。あと、強制とかももちろんしないし」

「なんで笑ってんのよ」

「え、表情見えてた? 暗いからわかんないかと思った」

「……気配で?」

「そっか。まあ、待つから」

「……うん」


少しだけ無言で歩いた。
イルミネーションのない道で見た空は、クリスマスイブの日に見たような、静かに星が瞬く冬の空だった。
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