私立秀麗華美学園
その日、ホームルームが終わると幸ちゃんはさっさと教室を出て行った。帰り道を誘われなかったのは何日ぶりだろう。
下駄箱を出ようとしたところで、雲行きが怪しいことに気がついた。しばらくすると案の定小雨が降り始める。雄吾に持たされた折りたたみ傘をさした。
幸ちゃん大丈夫だったかな。っていうか、なんであんな急いで帰ったんだろう。ほっとしたというのが本心だったけどあれはあれで不気味だ。
正直なところ、幸ちゃん自身が何を考えているのかはさっぱりわからない。
本音のようなものが垣間見えたのは「同じ花嶺」の意味を尋ねた時のこと。幸ちゃんも家の意向をはっきりと知らされているわけではなく、言われた通りにしているだけだと言っていた。
ただそれが、俺のことを好きだという幸ちゃんにとっては、反抗する理由のないものだったと、大体そういうことでいいんだろうか。
ああやって女の子に告白されたのは初めてだった。ゆうかと咲以外の女の子とは、そこまで仲良くなるようなことも今まであんまりなかった。槙野さんなんかはかなり仲良くなった方だ。
だから俺としては、接し方が余計にわからない。これでいいんだろうかと思う時もあるけど、雄吾に言われたみたいに全員にいい顔するなんてことは無理なことで、優先順位の一番上にいるのはいつも、ゆうかなんだから……
「わっ!?」
不意に背中に体当たりをされて、息が止まりそうになった。傘がぶるんと震えて細かい水しぶきが俺を中心に飛び散る。
背中にしがみついてきたのは、びしょ濡れの格好でうなだれた幸ちゃんだった。
「ゆ、幸ちゃん?」
「……えへへ」
いつもみたいな笑い声に一瞬身構えたが、幸ちゃんは目を伏せたままだった。
下駄箱を出ようとしたところで、雲行きが怪しいことに気がついた。しばらくすると案の定小雨が降り始める。雄吾に持たされた折りたたみ傘をさした。
幸ちゃん大丈夫だったかな。っていうか、なんであんな急いで帰ったんだろう。ほっとしたというのが本心だったけどあれはあれで不気味だ。
正直なところ、幸ちゃん自身が何を考えているのかはさっぱりわからない。
本音のようなものが垣間見えたのは「同じ花嶺」の意味を尋ねた時のこと。幸ちゃんも家の意向をはっきりと知らされているわけではなく、言われた通りにしているだけだと言っていた。
ただそれが、俺のことを好きだという幸ちゃんにとっては、反抗する理由のないものだったと、大体そういうことでいいんだろうか。
ああやって女の子に告白されたのは初めてだった。ゆうかと咲以外の女の子とは、そこまで仲良くなるようなことも今まであんまりなかった。槙野さんなんかはかなり仲良くなった方だ。
だから俺としては、接し方が余計にわからない。これでいいんだろうかと思う時もあるけど、雄吾に言われたみたいに全員にいい顔するなんてことは無理なことで、優先順位の一番上にいるのはいつも、ゆうかなんだから……
「わっ!?」
不意に背中に体当たりをされて、息が止まりそうになった。傘がぶるんと震えて細かい水しぶきが俺を中心に飛び散る。
背中にしがみついてきたのは、びしょ濡れの格好でうなだれた幸ちゃんだった。
「ゆ、幸ちゃん?」
「……えへへ」
いつもみたいな笑い声に一瞬身構えたが、幸ちゃんは目を伏せたままだった。