国中総てに虐げられてた私は未来の皇后?

王宮へ(レイファ)

楽しい人達との楽しいひと時を過ごし、美味しい物をいただき、とても幸せな気持ちのまま馬車に乗り 、王宮へ。

ラティラさんと旦那様の騎士団長様とは、舞踏会で会う約束もして、ウキウキしてしまいます。
だってラティラさんの、ドレス姿が見たいですから。
あの素敵なドレスを、ラティラさんが着るのです!私はみたい! 
さっきは仕切りに阻まれて、アンさんにも止められました。
こだわりあり過ぎてますアンさん……


「レイファ様もうじき王宮です」


ミミさんに言われて、小窓から覗くと……凄!綺麗!!こんな巨大な建物見たことないわ!夕暮れの中、威厳のあるお城が光り輝いているわね。
私の乗った馬車は、どんどん近付き中に吸い込まれていくわ。

普通の馬車は手前で止まり、皆様歩いて入っているのに、この馬車はどんどん奥へと向かって行く。入り組んだ道を通り、何処かの庭園みたいな場所でやっと止まった。

外から扉が開き私が降りた時、目の前にはレオン様が待っていてくれたのです。
何だかとてもホットします。煌びやかな衣装を着た王子様なのに、何故か安心?不思議ですね…知り合いだからでしょうか?


「レイファようこそ王宮へ」


レオン様が手を差し出し、私を待って居てくれています。
何これ?私にこんな待遇大丈夫なのでしょうか?
でもここでスルーも駄目ですよね…恥ずかしいですが、恐る恐る手を重ねました。


「レオン様お迎えありがとうございます」

「レイファ待っていたよ。思ったより時間がかかっていたから、心配していたんだよ。
詳しくは中で話を聞こうか。案内するよ」


レオン様に手を握られて、そのまま王宮内へ。
これは大丈夫?このまま中を進むと確実に沢山の方々が居ますよね。悩みながら進んでいると。


「おいおい、レオン待てよ!俺もいるんだが」


エドウィン様が背後から走ってきました。
アルトさんのお世話をしていた様です。


「エドウィン遅いぞ!仕立て屋に行っただけで何故こんな時間になるんだ。後で聞くからな」

「カラアゲ食ってたんだよ」

「なんだそれは?まあ良い部屋に案内する、エドウィンはその先だ。その者について行け」

「了解。レイファ嬢また後でな」


エドウィンさんはお城の方に案内されながら、違う道に進んで行きました。


「レイファはこっちだ」


心配していた通り、すれ違うメイドさんや騎士さん達の目線が、繋いでいる手に向かっていますよ。
レオン様……


「ここだよレイファ」


とても立派な扉の前で止まりました。離宮もとても豪華ですが、フレア様が主人という事で、柔らかな感じがしますが、ここはやはり王宮。
独特の重い雰囲気を感じます。
威厳と格式高い場所。私なんかの居る場所では無い様に思います。


「ありがとうございます。レオン様」


レオン様が扉を開けてくださいました。その部屋は……


「レオン様……私にこの部屋は勿体ないです……もう少し狭い、普通の部屋が良いのですが」

「この部屋はレイファの為に用意した部屋だから。王宮に来た時はこの部屋を使いなさい」


私は勧められて中に入ると、周りを見渡した。
薄いピンクとブルーの優しい色合いで纏められた部屋です。
可愛らしく落ち着いてた感じで、好きです……が、広過ぎます。
お城の小部屋はこんなに広いのでしょうか?
一つ一つのものがさり気なく置いてありますが、良い品であるのは確実ですし、数日過ごす為にここまで用意されるなんて……


「レイファ疲れただろう。椅子に座ってお茶でも飲もうか。私も忙しくて少し休みたいんだ」


レオン様が可愛いらしいピンクの花柄の椅子に座った。
可愛いです…良くお似合い。私はついつい可笑しくなり、クスクス笑ってしまいました。


「どうしたのだ?レイファも座りなさい」


レオン様は真面目で真っ直ぐで、さり気なく優しくて、こーゆう方ですのよね。
私もピンクの椅子に座ると、目の前にいるレオン様と視線が合いました。

レオン様はニッコリ微笑み何だかとても嬉しそう。私も嬉しくなり楽しい気持ちで、ラティラさん達の事を話しながら、ミミさんの美味しいお茶をいただきました。

あれからレオン様に、アンさん作の2着のドレスを見てもらいました。
2着になった経緯もちゃんと報告しましたよ。
少し悩んだレオン様は、ラティラさんとのお揃いのドレスを選んで下さいました。

私は舞踏会に、姉妹と義母と多分お父様も参加する事を伝えました。
レオン様が、済まなそうに今回の舞踏会は他国の参加も多く、特にマーテェフェルからの客人が多いと教えていただきました。

なんでもミシェル様の御学友である、マーテェフェル国の王族の願いをサーフゥイカー王国皇帝陛下が、聞き入れてくださったらしいです。
レオン様も今日知らされたらしく、嫌なら参加を辞めても良いと、心配そうに言ってくださいました。

私は、とても怖くはありますが、いつかは会わないといけない相手なのだろうと思っていました。
明日ならばレオン様エドウィンさん、ラティラさんと騎士団長様が、周りにいてくれるので心強いと思い、レオン様に参加を希望する旨を伝えました。

レオン様は私の決めた事ならと、その意思に同意してくださいました。

その後は私のフルートが聴きたいと仰るので、暫くテラスに出ての演奏会をする事になりました。
私は室内で良かったのですが、レオン様がテラス席で聴きたいと何故か言い張るので、仕方なしです。

フルートを吹いていると、エドウィンさんもいらっしゃったので、和やかムードの中場所を変えての、お食事になりました。


「レイファ嬢のフルートは、聞いていると心地よい気持ちになるな」

「そうだろう。私は一度聞いた後、何故か聞きたくなるんだよ。聞くと安心して、頑張れると思えるんだ」

「上手では無いです……所々間違ってしまいますし。精一杯の気持ちだけは込めてるのですが……私なんかのフルートに……」


私は褒めてくださるお二人に、とても申し訳なくなってしまいます。
きっとお二人は多数の演奏家の方達の演奏を聴いている筈なのに……っと。


「君は良く私なんかと言うが、なんかと言うのは辞めなさい。
レイファは様々な事柄に努力している、立派な人間だよ。
自身を卑下する言葉は必要無い。堂々と前を見て、胸を張って生きていきなさい」

「レオン様……」

「俺もレオンに同感だな!きっと離宮の皆んなも同意見だと思うぞ」


私は、支給のお仕事をしているミミさんと視線が合いました。
ミミさんも優しい眼差しでニッコリ微笑んでくれています。
蔑まれて生きてきた私は、ついつい自分を卑下する言葉を、使ってしまっていたのだと気が付きました。


「皆様ありがとうございます。これからは少し自信を持った発言をしたいと思います」


笑顔でお礼を言うと、皆様も優しい笑顔を返してくださいました。笑顔って良いですね。大好きです。

私達は美味しい食事と、楽しい会話を楽しみ、今日は疲れているだろうと言う事で、早めに休む事になり其れの部屋に帰って行きました。

私も用意していただいた部屋へ帰り、お風呂もゆっくり入っり、ふわふわの寝間着に身を包み、ふかふかベッドの中へ……

直ぐに睡魔がやってきました……


「おやすみなさい………………」







(………………)
(…たす……て…しんじゃ………)
(たすけてあげて)
(しんじゃうよぉ~)
(だれかきてぇ~)

「う~だれ?もう朝なの?~~」

(きこえる?にんげん?わたしたちのこえにはんのうしてる?)
(うっそーほんとーー?)

「あなた達は誰?何処にいるの?私はレイファ」

(レイファ!きいたことあるわ…やさしいこだって……)
(ねえ!いそいできて!!たいへんなのよ)

「わかったわ!待ってて」


私は飛び起きてテラスに走り出た。少し肌寒く、未だ外は真っ暗で何も見えない……どうしょう……困っていたら空から何がが降りてきた。

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