国中総てに虐げられてた私は未来の皇后?

アンソニー王子の想い2(アンソニー)

私達は留学する為に、初めて国から出たのだが、そのあまりにもの違いに驚いた。

 学園都市は、様々な国から学生が留学に訪れていた。とにかく人種が多く私もだが、同行者達はそれまでの植え付けられた黒色蔑視が覆された。

 それからは皆、年月を掛けて戸惑う事も度々あった様だが伸び伸びと勉学に励み、他国の人々と交友を持ち恋人ができたりと各自有意義な時を過ごした。

 私自身も、同じ王族であるサーフウィカ王国第三王子ミシェルと自然と打ち解け友人になり、お互いの国の問題点これからの理想等を、深夜遅くまで話し込んだりする程仲良くなっていったのだ。
王族と言う立場にいる者同士、お互いにしか分からない苦悩が手にとる様にわかったからとも言える。私にとっては初めての親友が出来たのだ。

 同行者達と相談をして、我が国をどうにかして変化させようと、色々な案を出して話し合っていたのだが、確実に貴族達の邪魔が入る事は予想が付いていた。

 それを弱める為に、同行している護衛の者や留学の同行者等の身近な者から、少しづつ理解を仰ぐ事にした。他国の情勢等、自身の想いを綴った手紙をやり取りしたり、自国に帰還した時にさり気無く自国と他国の違いを話したりと、本当に小さな事からコツコツ始めたんだ。

 他人からの言葉ではなく信頼の有る、子供や友人や恋人からなら、多少は聞く耳を持って貰うことが可能だからだ。

 国王の人選は的確で、護衛や同行者等の親族は貴族だが、比較的多様性の有る受け入れられる者達を選んでいた様だ。父上みたいに私も、周りの人間観察や情勢調査、自身の行動確認等先の先を読み動いて行かなければならないのだと、教えられているのだと遠くに離れていても感じる日々だった。
 
 それでも長年の思い込みを変化させていくというのは難しい事で、計画的に学園に親が子供に面会に来たという事にし、此方に呼んで意識を変えてもらったりもした。実際に観て、感じてもらうのが1番だからだ。その地道な皆の行動で少しずつだが、仲間を増やす事ができたのだ。

 仲間になった信頼のおける貴族の1人に、幼い頃に会ったあの子を探して保護して欲しいと秘密裏に頼んだのだが、あの子は消えてしまったのだと報告があった。殺されたのかもしれないと思い念入りに調べさせてもやはり、霧の様にあの子はかき消えてしまったらしい。

 私はあの子の事がどうしても頭から離れずにいる。私の人生観を変えたあの子
……あの子にあの時出会わなければ私は貴族達の支配下に未だ囚われて居たのだろうか。



「さあ、計画を実行に移す時が来た様だ。情けない事に自国民だけではどうにも上手い具合に計画が進まず、ミシェルを通してサーフウィカ王国にこれからの王族同士の直接貿易を約束に私が計画を立て進めるのだ

 しっかりしなければな。私は1人だが、周りには賛同してくれる皆がいる。
やるしか無いのだ。私は皇子だから。



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