アップルミルクティーを君と
私、斉木真由の働いているカフェ、"MILK"には常連さんが多い。これもひとえにマスターの温かな人柄によるものだと思う。マスターは、お客さんの細かな注文にも応えている。例えば、60代の田崎さんには、温かなミルクコーヒー、40代の紗季さんにはお肌にいいというハーブティー、健康を気遣う50代の横山さんにはごぼう茶、20代の若い女の子たちにはキャラメルマキアートやカフェラテに可愛いラテアートを・・・と言った感じだ。

カララン♪扉が開いて、見慣れない背の高いイケメン男性~スーツを着たサラリマン風の~が入ってきた。

「空いている席へどうぞ」

私が言って、メニューとお水を持って行く。

「すみません…アップルミルクティーはできますか?」

メニューにないので、男性は遠慮がちに言った。その男性の風貌とアップルミルクティーと言う可愛らしい飲み物のギャップに驚きながら、

「申し訳ありません。アップルティーの茶葉が・・・」

と断りかけたところ、マスターがカウンターの中から、

「30~40分くらい待ってくだされば出来ます。真由ちゃん、京応デパートまでFAUSIONのアップルティーの茶葉、、あと、シナモンスティック、買ってきて。・・・でよろしいでしょうか?」

「はい・・・時間はたっぷりありますので。感謝します」

あ、この人こんな風に笑うんだ。その笑顔にしばし見惚れていた。おっと、おつかい、おつかい。
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