。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。



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「でも、何故今頃になってキリを疑うんですか」


鴇田が目を細めて


「スネークの正体を掴んだ今、もしかしてスネーク自身がキリに接触する可能性もある」


確かに鴇田が言った『今更』だが…


鴇田が作った顔認証システムもキリも手伝っている。その後タチバナが一回だけ『試運転』でイチに接触した際、ヤツはタチバナを見破れなかった。キリから情報が漏れていないと言うことが証明された。


「お前も…婚約者を疑いたくない気持ちは分かるが…」言いかけた言葉を


「いえ、ご心配には及びません。私はあなたに忠誠を誓った者。


例えキリがスネークと繋がっていようものなら、私は躊躇なくキリを切り捨てるでしょう。


いかなる場合でも、私はあなたのご命令に背くことはございません」


冷徹な物言いだったが、きっと葛藤だってあるだろう。


握った拳が僅かに震えていた。


「安心したよ」俺は鴇田の肩を軽く叩き、


「タイガに伝言だけは頼む。しかしヤツを下手に刺激するな。


俺たちがヤツの正体を掴んでいる、と言うことは言っても構わん」


「は」


鴇田は短く返事をした。





「俺は―――


守らなければいけない。朔羅を―――



朔羅のいる世界を―――…」




決してさっき見た夢のようにあいつの世界を壊すことはないように。


だが……


俺はデスクの上、肘をついて手を組んだ。




「もしかして俺が―――


眠れる蛇を起こしたのかもしれない」





「は?」


鴇田は言っている意味が分からない、と言う感じで聞いてきたが


「いや、独り言だ。気にするな」


と手を振ると


「は」


と鴇田はまた短く答える。



『罪の共有』



―――何も知らない高校生でいたかった。




俺も―――何も知らず俺の手の中で、恐怖も憎悪も悲しみも知らずに、ただ穏やかに育ってほしかった。


俺は―――道を間違えたのだ。





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