。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。



「一時はどうなるかと思いましたが、お嬢が思った以上に楽しそうで良かったです」


響輔は淡々と言った。


まぁ?こいつがこう言った気持ちは分かったり。


旅行行こうと提案したとき、詳細メンバーに朔羅はかなり戸惑っていたし、確かに今この状況で響輔と川上が一緒に行ける筈はない。それを強引に押し通したことができたのは、途中で朔羅が何か勘付いたから―――だ。


俺と響輔がセットでいないといけない理由。深くまで知られている感じはないが、それでもしぶしぶ頷いたところからして、何となく察したに違いない。


スネークの野郎は解毒剤が一週間持続すると言ったが、それが保証されたものではないのも確かだ。今更あいつの言葉を疑うつもりはないが、そもそも治験されたのかどうかも分からないし。


一番良いのは朔羅に手を出さないことだろうが、ミラーハウスでの突発的事故も有り得る、やはり響輔に近くに居てもらうのが一番だ。


「でも……進藤が川上に―――か……恋ってどこでどうなるか分かんないな」俺がちょっと笑うと


「金髪く…いや、今は黒髪くん?とリコさん、元々あの二人は仲が良かったじゃないですか」


「ああ、いっつも変な組み合わせだなって思ってたけど意外に楽しそうだし。進藤、根は悪いヤツじゃないしな」




「リコさんには―――……幸せになってもらいたいです」





響輔の声がどこか憂いを滲ませていて、俺は―――響輔と川上がどこか似てる、と初めて思った。


何て言うか……二人とも、互いの幸せを願っている。


想いはそれぞれ違う方向に向かったとは言え、きっとその先のゴールは二人とも同じ。


それこそが、ホンモノの『愛』だと思う。


そう思うと、俺が見ていた川上は俺よりもうんと大人なんだろうな。



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