。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。


と言うわけで全員揃ったところで


「「「いただきま~す!」」」


テーブルには野菜スープとスクランブルエッグ、ウィンナーやサラダ、クロワッサン、トースト。そして味噌汁と出汁巻き卵、焼き鮭なんかの何か統一性がないが朝食がずらりと並んでいる。


「この味噌汁、ちょっと辛くない?」と千里があたしを見てきて


「ちょっとぉ、味噌汁担当あたしなんだけど。ケチつける気?」とリコが目を吊り上げ


「そうだぞ千里!リコちゃんが作った味噌汁は世界一うまい!」とキモ金髪。


「あ、サクラが作ったスクランブルエッグ一ノ瀬くん食べる?ふわふわでおいしいよ?」とここでもにこにこ笑顔のエリナは…今度ばかりはハッキリ気を使ってる感が分かった。


一方


「ねぇあの子大丈夫?」と、何故かあたしの隣に座ったイチが向かいの席で座ったまま器用にうとうとと首を揺らしてる戒を目配せしてあたしに聞いてきた。


「ほっといてええよ、この人いつもこうやから」とマイペースキョウスケは野菜スープに口を付けている。


「響輔何飲んでるの?美味しそう。いい香り。あたしにもちょうだい」とイチが白くてほっそりした両手を差し出し


「はぁ?あんたヨーグルトだけでええ言うたやん」


「何よケチ!」


ギャァギャァ


またも喧嘩…?


てかこの二人、昨夜艶めかしいことしたって感じには


全く見えない。


てか知ってるのあたしだけだよね、きっと。


この様子なら皆気付かないだろう。


「あ、あたしのでよければど、どうぞ」


とリコがまだ手を付けてないスープボウルを差し出し


「あら、いいの?」とイチはご機嫌。


「リコさん、気を使わなくてもいいですよ。あんたも、我儘言わんといて!リコさんにまで気ぃ使わせて」とキョウスケが目を吊り上げる。


「いいじゃない、くれるって言ってるんだし」と、ツンとイチは顔を背ける。


「き、昨日の卵焼きのお礼です。手伝ってもらったから」とリコは恥ずかしそうに笑い、ちらりとキモ金髪を見る。当のご本人キモ金髪は千里と何やら会話をしていて気づいていない。


「あなた……」


イチが目を細めてリコを見て、リコは睨まれたと思ったのかビクリと肩を揺らしたけれど


「……思った以上にいい子なのね。響輔が大事に思ってるの


ちょっと分かった気がする……」


と、聞こえるか聞こえないかの声で小さく言い、でもリコには聞こえてないみたい。リコはエリナに呼ばれてそっちに顏を向けていて


でもあたしにはバッチリ聞こえた。


この旅行に来る前まで、最初はお高く留まってるイヤな女なのかと思ったけれど、


やっぱ


根はいい人なんだろうな…


キョウスケが選んだ女だから、そういう人で良かった―――



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