。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。


響輔さんはあたしが想像もしない力で軽々あたしを引っ張り上げる。


いつだってそうだった。


この力強い手で守られた。守ってもらった。


「ありがとう…ございます」


あたしは今まで全て響輔さんがしてくれたことに対して言った。


「怪我…しなくて良かったです」響輔さんが静かに笑う。いつだってそうだった。このひとは―――とても静かに笑うのだ。


最初は、いっつも無表情。顏の筋肉一つ動かないひとだと思ってたけれど、ホントはほんの微か笑ってることに気付いた。


でも


youに対しては全力で笑って全力で怒って、あたし響輔さんの知らない表情、昨日でいっぱい知った。


知れて―――良かった。




――

―――


youが言った物置と言うのは六畳弱と言う広さで、左右の壁に沿って天井まで伸びたラック中に大小様々な大きさの段ボール箱がギッチリ詰まっていた。真ん中はかろうじてひと一人通れる程の通路があるだけ。


「ぅわ」思わず声が漏れる。同じように響輔さんも隣でげんなりしている。


てか暑っ!


「と、とりあえず窓!窓開けましょう!」通路の奥…棚の向こう側で明り取りの細長い窓があって、指さすと


「そうですね」と流石の響輔さんも暑そうにしてTシャツの袖で額を拭っていた。


変な沈黙になるのが嫌で、あたしはその窓に駆け寄り窓枠に手を伸ばした。細長いノブに手を置き、押してみるけれどぴくりともしない。


あれ…?引くのかな…


ガタガタ鳴らしていると、


またも響輔さんの腕が背後から伸びてきて


ガタっ…


あたしの後ろから窓を開けてくれた。



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