。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。



あ、ちょっと涼しい…


なんて思ってる場合じゃない!


か、体!密着(て程でもないけど!)すぐ後ろに響輔さんがっ!手!重なってるんですけど!!


「立て付けが悪いみたいですね」響輔さんの声が頭上から聞こえてきて


「……あ、はい…」とぎこちなく頷いたものの手を振りはらうこともできず、そのまま。


あたしって気が多いのかな。


さっきまで先輩とあんなに楽しくて幸せだったのに…


あれ…?でも幸せとかそう言う意味のドキじゃなくて…


そっか、あたし……




緊張してるんだ。




思えば響輔さんと一緒にいるときっていっつも緊張しっぱなしだったな。最初はその緊張さえ心地よかったけれど、やっぱり辛くなっちゃった。先輩とは緊張もしないけれど、緩やかな幸せはある。


響輔さんの手はそれ以上あたしの手と絡まることなく、そっと離れていこうとした。


いつだってそう。響輔さんは自分から距離を取るのが得意だった。あたしはそれを必死に追いかけて……


「響輔さん……」



あたしが響輔さんを呼ぶと


「はい」と響輔さんの返事がかえってきた。離れていこうとしていた手が止まった。


今なら言える。響輔さんに背を向けている今なら―――


乏しいとは言え、ほんの僅かな表情でさえ読み取ることのないよう。



「あたし、



進藤先輩と付き合うことになりました」




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