。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。


ぅわぁ!うわぁ!!女優のyouに『リコちゃん』て呼ばれちゃったよ!


あたしなんて普通ならお近づきできない雲の上の人なのに。


さっき、先輩との会話に嫉妬してすみません。


一人(心の中で)興奮していると


「それからあたしのこと“youさん”て言わなくてもいいわよ」


youが顏を背けたままそっけなく言って……


けど、じゃぁ何て呼べば?


と一人あせあせしていると


「イチ、でいいわよ。みんなそう呼んでるし」


うっそ!!なんか特別感があっていい!


早速


「イチ……さん!」


と呼ぶとyou……じゃなくてイチさんがようやく振り返った。


完璧に美しい微笑みは完全に女優の顏だけれど、それとは違う何かが見えた。それは温度のない造り物ではなくて、そこにはちゃんと体温があって、温かくて―――


……と思ったのは束の間、その後再び加湿器の話が蒸し返され、響輔さんとイチさんは派手にギャーギャーと口喧嘩。


あたしの隣で


「すっげぇな」とボソっと先輩が耳打ち。間に入って仲を取り持つことを諦めたらしい。


先輩が無理なことはあたしには絶対無理。


とりあえず喧嘩中の二人はそのままにしておいて


「お腹空きません?キッチンにお菓子あった気がする」とあたしがキッチンに向かおうとしたとき


「ただいま~!」


朔羅の声が玄関口から聞こえてきて、ちょっとほっ。先輩と一緒に居られるのは嬉しいけど、響輔さんとイチさんの喧嘩を止めることもできず、キマヅかったから。


「おかえり~、遅かったね~」と出迎えると朔羅たちが手ぶらだったことに気付いた。


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