恋人は社長令嬢
那々香は、ドキドキしながら近づいた。

「部長に、残業押し付けられたんだって?」

「えっ、ええ…」

「そういう時は、言えよ。友達甲斐のないヤツ。」

「ごめん…」

「ったく、今の新人達っていうのは、残業って好きじゃねえよな。これくらい、やっていけってつうの!」

見れば、もう仕事はほとんど終わっている。

「こんなの、みんなでやれば、すぐ終わるって。」

至もホチキスを持って、ガチャガチャやってる。

「ありがとうね、瞬。」

「ああ。」

「ありがとう、至。」

至は、那々香をじっと見た。

「腹の調子は、もういいのか?」

「へ?」

「出すもの出して、スッキリ♪って顔してる。」

至がホチキスを、机に置いた時だった。

「い~た~る~!!!」


那々香の久々の大声が、フロアに響いた。
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