恋人は社長令嬢
「どれにしようかな…」

休憩中に、缶コーヒーを飲みに来た瞬。

たくさんある種類の中から、どれを買うか悩んでいる。


「瞬。」

そんな彼に声をかけたのは、同じ部署にいる、同期の矢口至(ヤグチ イタル)。

「また何かで、悩んでるのか?」

「ああ、どれを飲もうかな~って……」

外国で育った至(イタル)は、悩む事をあまりしない。

「何だっていいじゃん。」

至は適当に、自販機のボタンを押した。

「うわわわ~!!」

「はい。」

出てきた缶コーヒーを、笑顔で渡す至。

「勝手に決めるな!」

「どうせこれだ!っていうのも、なかったくせに。」

「うっ……いや……そうだけど……」

怯む瞬。

「一度でいいから、小さい事で、悩んでみたいよ。」

ため息をつく至。

「てめえ……」
< 2 / 275 >

この作品をシェア

pagetop