恋人は社長令嬢
「梨々香。」

「なあに?那々姉。」

「何が欲しいの?」

「え?」

梨々香は、まつげぱっちりの目を、丸くした。

「あんたが機嫌いい時って、何かをねだる時だけだもの。」

那々香は先手を打った。

「やだなぁ、那々姉。そんなんじゃないよ。」

「じゃあ、何なの?」

「まあまあ、そうだな……強いて言えば、欲しいモノを手に入れたから?」

「欲しいモノ?」

「言ったよね、那々姉。私が好きな人を彼氏にしたら、報告してって。」

「…それって……」

「そう。付き合う事になったの。」

梨々香は得意げな顔をした。

「それは、それは…」

「ん?」

「相手の人にとっては、ご愁傷様な事ね。」

「ふふ…そうでしょ?って、何でよ!!」

机を思いっきり叩くところを見ると、いつもの梨々香に戻ってきたようだ。


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