雨の日じゃなくても私は明日の君を好きになる
「綴ー、葉玖村ちゃんも食べるってー!!」

台所に着くと、大平さんは元気よく言った。
兄は、私たちが来たことに気がつくと笑ってケーキをテーブルの上においていった。

「はい、葉玖村」

「ありがとう、おに………。ありがとう」

なぜだか兄に〝お兄ちゃん〟って言えない。
なぜかはわからない。

「………うん」

それでも兄は笑うんだ。
だけど困った感じだった。
切なそうな感じ………。
私は兄にそんな顔をさせているなんて嫌だ。
だけどなんか………呼べないんだ。
なぜかはわからない。

「いっただきまーす!!」

そう言ってガツガツと食べる大平さん。
相変わらずこの人は元気で明るいな………。
兄と一緒にいるのがどうしてなのかわかる。
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