お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
 淡い期待を込めて尋ねておきながら、あまりにも率直な蓮の答えに真帆は心臓が止まりそうなくらい驚いて顔をあげた。
 そこには困ったような笑みを浮かべた蓮の瞳があった。

「そう…君が本当は誰かのものなのだと思ったら、許せなくなって…。だがこの話をする前に、俺は君に話さなければならないことがある」

 少しひんやりとした蓮の大きな手が真帆の頬を包み優しく撫でた。

「…少し前にコーヒーの時間に仰っていたことですね」

「そうだ…私は、どうやら君を根本的に誤解していたようだ。その答え合わせをしなければ…。ただ君は大変なことがあったばかりで疲れているだろうだから、…日を改めよう」

「嫌です!」

 真帆は声をあげた。
 もう少しも待てなかった。
 強く惹かれながらも彼の行動には不思議に思うことが多かった。
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