お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
 蓮は回りくどいのと時間を無駄にするのは大嫌いだ。ずばり追求したいことを言うと真っ直ぐに一条を睨みつけた。立場こそ上下関係はあるものの、もともとは大学の同期であった一条は、社内で"副社長のキラーアイ"と恐れられている蓮の視線を受けてもどこ吹く風で、飄々としている。

「あぁ、あれですね。はい、新しいアシスタントが入ります」

「有能なお前にアシスタントなど必要ないだろう」

「ですが、社長命令では仕方がありません」

 秘書室に新人のアシスタントが入ることを蓮は昨夜呼び出され久しぶりに訪れた実家で父親から聞いた。話自体は以前から決まっていたことのようだから当然室長である一条が知らなかったはずもない。それなのに肝心の蓮には一言も報告がなかった。

「…黙ってたな」

「それも含めて社長命令ですので、はい」

 無表情でしれと自分を裏切っていたことを白状する秘書を睨みながら蓮は昨夜の父との話を思い出していた。
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