お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
 かしこまった場所だとはいえ所詮は社内パーティ。すぐにあちらこちらで笑い声があがる和やかな場となる。それを見つめながら真帆はどういう経緯であれこの会社に採用になったことは自分の人生の中で一番の幸運だったと思った。
 そして普段はあまり交流がない役員と一般社員がにこやかに話をしているのを眺めていた真帆はあることに気がついてその場を離れた。

「石川常務、よかったら椅子をどうぞ」

 声をかけると石川は振り返り、目を細めて微笑んだ。

「やぁ入江さん、ありがとう。さすが副社長のお気に入り秘書さんだ。気が効くなぁ」

真帆はつられて微笑んで、でも首を振った。

「このくらいで大げさですよ。…飲み物をお持ちしましょうか」

「あぁ、頼むよ」

真帆は近くのスタッフに日本酒をお願いした。
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