お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
 少し前に話した時は待たせるようなことを言ったくせにと自分でも思うけれど、今日、社員たちに囲まれている彼を見ていて、それから自分も彼らに囲まれて自然とそんな気持ちになれた。

「…真帆?」

 真帆はバスタブの中でクルリと回されて蓮と向かい合う。蓮は眉を寄せて真帆を見た。

「無理しなくていいんだぞ?俺はいつまでも待つし、親父たちのプレッシャーからは守ってやる。真帆が本当に…」

「無理なんてしてません」

 真帆はかぶりを振ってじっと蓮を見つめた。

「自分でも不思議ですけど、自然とそんな気持ちになれました。私…私と蓮さんが出身が違うからつり合わないなんて思いませんけど、それでもやっぱりちぐはぐなカップルなんだって思っていました。蓮さんは何万人もの社員を率いるすごい人なのに、私はただの新入社員でしょう?だから、付き合うだけならまだしも結婚なんて…って…」

 蓮が一瞬何か言いたそうにして、でも口を閉じた。

「でも今日一日で、わかったんです。会社は経営陣だけじゃ成り立たないって。どんな小さな仕事でも…裏方でも仕事は仕事なんだわ。それを一生懸命やってる限り自信を持っていいんですよね?…蓮さんとはつり合わないなんて思わなくても…」

 蓮が頷いて真帆の頬を大きな手で包んだ。その感触に励まされるように真帆は言葉を紡ぐ。

「それに…私には…もう一つ、私にしかできないこともあるんじゃないかって思いました」
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