お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
確かにそうかもしれないが披露宴の招待客に対して使うだけならともかくドレスにとなるとどうしても気が引けてしまう。
 真帆の感覚からするとドレスなんてものは借りるものだ。仕立てるなんてとんでもないと思ったけれど、蓮は譲ってはくれなかった。そしてどこからかそれを聞きつけたファッション通の美咲とタッグを組んで世界に一つだけの真帆のウエディングドレスが出来上がった。
 今日はその最終チェックの日というわけで近しい関係者が藤堂家の屋敷に集まっている。
 美咲はというと少し離れたところから、鋭い視線でドレスと真帆をチェックしている。仕立屋を担当した女性デザイナーはどうやら真帆よりも美咲の方が気になるようで、さっきからチラチラとそちらを見つつ真帆の着付けをしてくれていた。
 無言であちらからもこちらからも目を光らせてから、ようやく美咲が頷いた。

「うん、最高の出来ね。さすが藤堂さん御用達の衣装屋さんね」

女性デザイナーがホッとして微笑んだ。

「ありがとうございます」

「私は反対だったけれど袖があるデザインも素敵ね」

 美咲は感嘆のため息をついた。
 実はこの"袖"に関しては一悶着あった。真帆の若い肌を見せたい美咲と、露出をさせたくない蓮と。
 正直言って真帆はどちらでもよかったが、結局デザイナーが素敵な半袖のデザインを提案してくれてそれに落ち着いた。
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