お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
 一条は、あぁありがとうと言って受け取り早速中身を確認している。
 真帆の胸が嫌な音でドキンドキンと鳴った。なんだか自分は歓迎されていないような感じがしたからだ。
 一条はというと履歴書に目を落としたまま再び考え込んでいる。
 まさか、真帆が来ること自体が手違いだったのではないだろうかとすら思ってしまうくらいの長い沈黙のあと、ようやく一条が顔を上げて真帆を見た。

「えーと、入江さん?」

「は、はい」

「前職は法律事務所にいたの?」

 ようやく面談らしい質問が一条の口から出て、真帆は幾分安堵して頷いた。

「はい。法律事務所の事務員でした。ですが法律事務員という仕事は事務仕事だけではなくて弁護士の先生のスケジュール管理から依頼者の方への対応なども含まれますので秘書のお仕事と少し重なる部分があるのではないかと思いまして…」
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