お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「いやいや、気にせんでくれ。急に来て申し訳ない。息子の秘書室に新しいアシスタントが入ったというから会いに来たんだ」

「え!?あ、ありがとうございます!」

真帆は真っ赤になってしまう。
 いきなり社長が目の前に現れただけでも驚いたのに、わざわざ真帆に会いに来たのだと言われて気が動転してしまう。
 そもそも藤堂不動産のような大企業のトップが、真帆のような一社員の採用を把握しているのも驚きだ。真帆は次の言葉が出てこずにまごまごしてしまう。
 すると副社長のドアが開いて蓮が現れた。一条が内線で知らせたのだろう。

「社長、急に来られては困ります」

ぶっきらぼうに言う彼を見て真帆はさっき藤堂が"息子"と言ったことを思い出した。彼は副社長の社長に対する態度とは思えないくらい不機嫌だが、親子ならそれもありなのかもしれないと真帆は思う。
 それにしても何もそこまでというくらいに蓮は藤堂を睨んでいる。親子の仲は悪そうだと真帆は思った。
 藤堂はそんな息子を鬱陶しそうに見て無視をした。
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