お見合い夫婦の結婚事情～カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています～

　真帆の言葉に今度は蓮が考え込んだ。確かに総務課には女性が多い。
　男女平等とは言いつつも不動産業の世界はまだまだ男性優位な側面があるのが実情で自然と男性社員は営業部などに集められる。
　必然的に表に出ない総務課などに女性社員が偏るのだろう。
　それが致し方ないというならば、総務課の業務内容を見直すべきかもしれない。そんなことを考えながら、蓮は真帆をじっと見つめる。
　会社の業務に対する改善点は漫然と過ごしていては気がつかないものだ。総務課長からは上がってこなかった建設的な意見を彼女が言ったということは、彼女がしっかりと頭を働かせながら業務に当たっているという証拠だ。
　いよいよ、認めないわけにはいかなくなってきたと蓮は思う。
　お見合いのために来たはずの彼女が、しっかりと仕事をしていることを。

「…なるほど。ちょっと考えた方がいいかもしれない」